神経内視鏡・外視鏡システム

神経内視鏡・外視鏡システムを導入しました

~外視鏡システム~

外視鏡とは読んで字のごとく術野の「外」から映すカメラのことです。最近は4K3Dでの撮影が可能となり、このカメラで撮影した画像をモニターに映し、特殊なメガネをかけることで術野を立体的に見ることが可能となります。当院には最新式の外視鏡(VITOM®3D:KARL STORZ – ENDOSCOPE)が導入されており、この機器はまだ日本でも数えるほどしか導入されておらず、近畿地方では初の導入となります。
内視鏡のように中には入れずに用いますので、これまでの顕微鏡での手術に似た手技となりますが、本体自体が小さいこととモニターを見ながらの手術に変わることで大きなメリットがあります。
 ①術者の自由度が上がり、より楽な姿勢で手術ができる
 ②患者さんの姿勢や体位による制限が緩和される
 ③助手や室内のスタッフにも術野がよく見える
―などがあり、これらはいずれも手術の安全性と確実性を高めます。
ただ、手術によっては顕微鏡に劣る部分もあるため、当院では必要に応じて外視鏡と顕微鏡を切り替えたり、さらに内視鏡を組み合わせたりしながら手術を行っております。

~内視鏡システム~

脳神経外科の領域でも近年、傷や開頭範囲を小さくする低侵襲治療が広がってきています。その一環として、消化器外科や耳鼻咽喉科などと同様、内視鏡による手術(神経内視鏡手術)が発展をしてきています。これにより、従来開頭(大きく頭蓋骨を開く)して行っていた手術のなかで、1~2cm程度の穿頭(小さい穴を頭蓋骨に開ける)でできるようになる手術が増えてきています。
また、深部の状態をより鮮明かつ広範囲に観察することができるようになるため、これまでと比べて脳や神経への負担を減らすことが可能となったり、開頭では到達することが困難だった部位にもアプローチしやすくなったりします。 現在、当院には学会で認定された神経内視鏡技術認定医がおり、今後、この手術法も拡充していく方針としています。

~神経内視鏡が得意とする手術~

【脳内血腫、脳室内血腫】
これまで開頭で行われてきた手術ですが、神経内視鏡の発展により穿頭で行える症例が増えてきています。これにより、傷が小さくできたり、場合によっては全身麻酔ではなく、局所麻酔で手術を行ったりできるようになります。また、脳室内血腫はこれまで直接アプローチすることは困難でしたが、この手術法により血腫自体の除去が可能となります。 当院では出血した部位や量、向きなどを総合的に判断し、従来の開頭手術と神経内視鏡手術のどちらがより良いか症例ごとに検討しながら手術に当たっています。
 

[脳神経内視鏡手術風景 森田 副部長執刀 山下 救急部長アシスト]

 

脳深部に発生した脳出血に対し従来の顕微鏡下手術だけでなく最新の脳神経内視鏡手術での摘出を積極的に導入し安全に実施をしています。
手術時間も1時間程度で短く、また開頭部位も大変小さく実施することができます。

 


[脳神経内視鏡手術風景 森田 副部長執刀 山下 救急部長アシスト]

 


[脳神経内視鏡手術前 脳出血(赤丸)]

[脳神経内視鏡手術後 脳出血がほぼ全摘出(赤丸)]

 


[皮膚切開や開頭も小さく実施しています(赤丸)]

 

【水頭症】
何らかの利用によって脳脊髄液が脳室内に貯留し、拡大してくることで症状を出す水頭症という疾患があります。これに対して、脳室内と脳槽(くも膜下腔)との間に通り道を作ってあげることで治療が可能となる症例があります。特に、髄液の流れがせき止められることによって生じる閉塞性水頭症に対しては有効な症例が多いです。
【嚢胞性病変】
頭蓋内に液体の貯留した袋状の構造物(くも膜嚢胞やコロイド嚢胞など)ができ、それによってさまざまな症状を生じることがあります。内視鏡下にこの袋に穴をあけること(開窓術)で、治療が可能となる場合があります。
【内視鏡支援手術】

顕微鏡を用いて行う手術ではどうしても直線的な視野となり、死角が存在します。しかし、内視鏡は0度の直視鏡だけでなく、30度や70度と先端にあるカメラに角度がついているもの(斜視鏡)もあるため、これまで見えなかった場所も確認できるようになり、これらを補助的に用いることで従来の顕微鏡を使った手術でもより安全性を高めることが可能となります。

【その他】

頭蓋内腫瘍:下垂体腺腫や脳室内腫瘍は神経内視鏡が有効とされています。また、硬膜に発生する髄膜腫や脳実質内腫瘍などにも用いられている報告があります。 脊椎疾患:腰椎ヘルニアや脊柱管狭窄症などに対して神経内視鏡下手術を行っている報告があります。

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