脳腫瘍摘出術

病態と治療

髄膜腫という病気は全脳腫瘍のうち約26%占めるといわれています。原因は明らかでありませんが、くも膜という脳を覆っている膜の細胞から発生する腫瘍です。良性が多いものの急速に増大する腫瘍などの場合には想定外に悪性度が高い腫瘍もあります。発生する部位はくも膜のある部位ではどこからでも発生する可能性がありますが、発生しやすい場所は大脳半球円蓋部、傍矢状洞部、大脳鎌、蝶形骨縁、小脳橋角部、傍鞍部などに発生します。脳腫瘍による正常脳組織の破壊と圧迫、それに伴う脳の循環障害や頭蓋内圧亢進によって頭痛、嘔気・嘔吐、意識障害、運動麻痺、感覚障害、言語障害(失語症、構音障害)、失調症状(めまい、ふらつき)、脳神経症状など様々な症状を呈し、放置すると腫瘍組織の増大進展や脳浮腫(脳のむくみ)の進行などにて正常脳組織の圧迫や頭蓋内圧亢進が進行し、症状の悪化や不可逆的な(元に戻らない)障害が進行します。また術前予想した髄膜腫以外の悪性腫瘍であったり、髄膜腫でも再発増殖力が強いと判断される場合は、腫瘍組織の確定診断により術後の化学療法(抗癌剤)や放射線治療などの追加治療についての適切な治療方針を選択する事があります。このため一定のサイズとなった髄膜腫においては、腫瘍組織の安全かつ最大限の切除、および組織診断確定のため手術が必要となります。

開頭腫瘍摘出術は、全身麻酔下で頭皮を切開し開頭した後、正常脳を傷つけないように細心の注意を払いつつ、脳腫瘍を最大限に摘出する手術です。まず開頭により脳を保護する硬膜を露出します。硬膜外伸展のみられる腫瘍の場合には正常組織との癒着を剥離しながら腫瘍摘出を開始します。次いで硬膜に切開を加え脳に到達します。さらに脳表のくも膜を切開すると脳脊髄液(髄液)と呼ばれる脳の表面を循環している体液が流出します。その後、脳の表面に存在している腫瘍に癒着している周囲の組織を手術顕微鏡を用いて剥離しながら腫瘍を摘出します。周囲の組織には、神経組織のほかに脳血管も含まれます。癒着が強い場合にはこれらの組織ごと摘出するか、あるいは機能温存のため腫瘍組織を一部残す必要がある場合があります。また必要に応じて電気生理学検査等を実施することで事で正常機能が温存されている事を確認しながら最大限の腫瘍摘出を目指します。摘出終了時には摘出部の状態を確認し、また充分に止血されている事を確認して切開した硬膜を縫合し、頭蓋骨を修復し、頭皮下の筋肉、皮下組織、頭皮を縫合し手術を終了します。

☆執刀担当医師
佐々木庸 矢野達也 森田 岩崎孝一

〒538-0044 大阪市鶴見区放出東2丁目21番16号
TEL:06-6965-1800

日本脳神経外科学会専門医研修プログラム研修施設
  • 公益財団法人田附興風会 医学研究所 北野病院連携施設
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日本脳卒中学会認定教育病院
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